PICOCLAMP開発エピソード
PICOCLAMP
~金属のようなプラスチッククリップを目指して~
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「PICOCLAMP」 は、PEEKという特殊プラスチックを素材に採用した、ディスポーザブルタイプの微細血管用止血クリップです。
ディスポーザブルとは、いわゆる単回使用品のことです。現在の医療業界では、感染防止、コスト削減、業務効率化などの理由により、多くのディスポーザブル製品が使われています。
開発当時の微細血管用止血クリップは、繰り返し使用する金属タイプが主流でした。金属は高強度でしっかりと止血できるところが利点ですが、洗浄の手間や衛生面での問題があるのも事実でした。そこで、金属の利点を持ちながらもディスポーザブルとして使用できる微細血管用止血クリップを作りたいと考えたのが、開発に着手したきっかけです。
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開発にあたり、まず着手したのは素材探しでした。普通のプラスチックでは、強度等の使用感の違いがどうしても生じてしまいます。ディスポーザブルタイプとして使用でき、かつ使用者に違和感を与えない製品を開発するために様々な素材の比較検討を重ねました。その中で出会ったのが、PEEKです。PEEKは金属のように反り返ることなく挟むことができる高い剛性を持っており、まさに私たちの求める素材だったのです。
従来金属加工を得意としていた当社にとって、樹脂加工は新たなチャレンジでした。当然社内にはノウハウも何もなかったので、開発から製造工程の確立、安定供給できる体制づくりまでの全てを行いました。様々な困難の連続でしたが、それを乗り越え発売まで辿り付くことができたのは、当社の「失敗を恐れずに挑戦できる環境」があったからだと思っています。
PICOCLAMPは発売開始以来、今までにないクリップとして現場の医師から高い評価をいただいています。今後は培った加工技術とPEEKの利点を活かして、他用途への応用を進めていきたいと考えています。