生産技術
ものづくりの“数値化”
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河野製作所では、ものづくりにおいて “感覚” と同じくらい、“数値化”を大切にしています。
30㎛の針を開発していた時期、当時の60~70代の世代のエンジニアは、いわゆる職人さんでした。若い世代に対しては「見て覚えなさい」のスタイルが主流で、上手く技術を引き継ぐことができていなかったのです。これでは、職人さんが引退した時点で、その優れた技術が途絶えてしまうと、危機感をいだいていました。
高度な加工を“感覚”だけでこなすより、可能な限り“数値化”し、生産方法を確立していく方が良い。そうすることで、一部の職人が持つ匠の技に頼りすぎるリスクも回避できると考えました。 -
自動化への挑戦 適切な技能と生産設備さえ揃えれば誰でも規格に収まる製品を製造することができる状況を理想に掲げ、自動化に向けた取り組みを開始したのは2010年のことです。
職人の優れた技術の分析を進め、初号機が完成したのが2017年。取り組みを始めてから実に7年の歳月をかけ、自動化を実現させました。今では針製造のほぼ全工程の自動化に成功しています。
自動化の実現は、経験年数を問わず誰もが一定の品質で製造できる体制を生み出し、当社全体の品質向上に寄与しました。また、生産効率も向上し、これまで針製造に携わっていた人材が研究開発などのより高度な業務に力を入れられるようになりました。さらに現在は針製造以外の自動化も進めており、その過程で取り込んだ新たな加工技術を、新製品開発にも生かしています。 -
独自技術を次の世代へ 道具を扱う医師や、道具が直接触れることになる患者さんの身体は、一人ひとり異なります。こうしたニーズは、今後さらに多様化していくことが予想されるため、オーダーメイドで製品を生産していく技術を高めることは必須です。
私たちは《多品種少量生産》を支え続けてきた、職人の技を良い意味で自動化し、次世代に確実に伝えていきたいと考えています。